電子メールニュース『スパッタ・スポットライト』
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2008年第1四半期『スパッタ・スポットライト』

接地成功! 適切な接地の実践指導


電源装置が適切に接地されていないと、製造作業や作業員を危険にさらすことになります。その影響により、オフィスの電源回路など隣接する電気システムの干渉が起こることもあります。この種の干渉によって、オフィス天井の照明が点滅したケースも実際に起こっています。同様に、不適切な接地はEMI(電磁妨害)や測定エラーの原因となり、ひいてはプロセスや薄膜品質に悪影響を及ぼすこともあります。さらに、最も気をつけるべき点として、不適切な接地によって作業員の感電事故が発生する危険があります。この種の潜在的なコストを考えるならば、適切な接地方法について日頃から十分な情報を得ておくことが大切です。

『スパッタ・スポットライト』(Sputter Spotlight®)2008年第1四半期号では、電源装置を含めて、真空プロセスの運転に関わる電気システムの適切な接地方法について、簡単明瞭で実践的なアドバイスを提供します。ここに記載された原則、写真、図表、説明に従えば、システム性能と工場の安全性を向上させるのに必要な手順を理解することができます。

まず、接地は複雑な問題であるということに注意してください。ここに記載した情報は、基本的な原則と指針を提供するためのものですが、これだけでは検討を尽くしたことになりません。個々の状況に即したアドバイスが必要な方は、ダグにお尋ねください


接地はそれぞれ、現地の法令および規則に従って行わなければなりません。実際に自分のシステムで作業を始める前に、現地の適用規格を参照し、あらゆる安全対策を講じてください。装置が適切に接地されていないと、作業員または機器に重大な災害を引き起こすおそれがあります。





一般原則

銅製ストラップを使って接地する場合は、十分な幅のあるものを使用してください。 高周波電源または低周波交流電源から供給された電気は、「表皮効果」(skin effect)と一般に呼ばれる現象によって、いずれもストラップの表面だけを伝わります。したがって、接地ストラップにはできるだけ表面積が大きいものを使用してください。接地ストラップの幅の推奨値を図1に示します。

それ以外にもリッツ線や平編組線などが接地材料に使われます。材料は各機材やシステム要件に合わせて選択します。個々の状況に即したアドバイスが必要な方は、ダグにお尋ねください

図 1. 銅製接地ストラップ幅の推奨値

図 1. 銅製接地ストラップ幅の推奨値


接地端子を圧着、ハンダ付けする。 銅は酸化しやすいので、接地端子に圧着するだけでは不十分です。酸化が起こると、接地端子との接触が悪くなります。そのため、圧着した上でさらにハンダ付けしない限り、接触が完全に失われる可能性があります。図2は、平編組線を接地ラグに圧着した上でハンダ付けして、DC電源装置の接地スタッドにしっかり接続されている状態を示しています。

金属同士の接地接続 。 二つの接地接続面の間に塗料その他の絶縁材料が入り込まないようにしてください。金属製の梁または柱もしくはパイプ類に接続する際には、塗装されていない表面に接続するか(図2)、塗装作業の前に接続するか(図3)、もしくは塗料その他の絶縁材料をあらかじめ除去してから接続します(図4)。その際、適切に接地接続された部分の上から塗装することで、酸化を防ぎ、接続を保護することができます。

図 2. 塗装されていない表面の接地接続

図 2. 塗装されていない表面の接地接続





図 3. 塗装前の金属製の梁への接地接続

図 3. 塗装前の金属製の梁への接地接続





図 4. 塗装を剥がした金属製の梁への接地接続

図 4. 塗装を剥がした金属製の梁への接地接続




電源シャーシは必ず接地してください。 この接地接続はよく忘れがちで、不要と思っている人がいるかもしれません。しかし、電源装置ではこの部分を必ず接地接続しなければなりません。

電源シャーシの適切な位置に正しく接地接続する。 図 5は電源装置の正しい接地接続状態を示しています。平編組線と電源シャーシの間に歯付き座金を用いることで酸化に強くなり、長期にわたって接地接続を維持するのに効果的です。

図 5. Pinnacle® 電源シャーシへの正しい接地接続の拡大写真

図 5. Pinnacle® 電源シャーシへの正しい接地接続の拡大写真





チャンバから電源、さらに建物への接地接続。 これによって、そのシステムの接続端子を確実にアース(大地)に接地することができます。アースへの接地は、レファレンス(基準)接地よりも効果的で、EMIやノイズ、作業員の感電事故、ならびに不適切な接地によるそれ以外のあらゆる問題の防止に大いに役立ちます。図 5(上)は、電源装置と真空チャンバを結ぶ平編組線の接地ケーブルを示しています。図6と図 7(下)は、チャンバと電源装置を結ぶ平型銅製ストラップを示しています。

図 6. 電源装置とチャンバを結ぶ平型銅製ストラップ

図 6. 電源装置とチャンバを結ぶ平型銅製ストラップ





図 7. 電源装置と真空チャンバを結ぶ銅製接地ストラップ

図 7. 電源装置と真空チャンバを結ぶ銅製接地ストラップ



システム接地

良好なシステム接地は建物の基礎から始まります。下の図は、接地を念頭に置いて建設された室内に適切に接地された工業用塗装システムを示しています。接地線、接地棒その他の構造的な要素によって、塗装装置を適切に接地することができます。

図 8. 工業用塗装作業に適したシステムと工場用接地

図 8. 工業用塗装作業に適したシステムと工場用接地





図 9. 低周波電源装置と塗装装置のカソード(陰極)側を結ぶ適切な接地電源線の詳細な図解。電源装置の出力ケーブルを囲む接地シールド自体も、その両端が接地されている。

図 9. 低周波電源装置と塗装装置のカソード(陰極)側を結ぶ適切な接地電源線の詳細な図解。電源装置の出力ケーブルを囲む接地シールド自体も、その両端が接地されている。





次の写真は、工業用塗装システムを格納する予定で建設されている工場を示しています。装置を設置して稼動させたときに適切な接地を確保するための金具が、この段階ですでに組み込まれていることがわかります。

図 10. 壁面支持材への適切な接地接続

図 10. 壁面支持材への適切な接地接続





図 11. 室内接地線と部屋の四隅にある接地棒を結ぶケーブル

図 11. 室内接地線と部屋の四隅にある接地棒を結ぶケーブル



図12・図13. 壁面内側の鉄筋に接続された室内接地線

図12・図13. 壁面内側の鉄筋に接続された室内接地線

図12・図13. 壁面内側の鉄筋に接続された室内接地線





図14・図15. 適切に圧着されたケーブル接続

図14・図15. 適切に圧着されたケーブル接続

図14・図15. 適切に圧着されたケーブル接続





ダグに聞こう!

Doug Pelleymounter photo

お客様の工場のスパッタリングプロセスでは、スピューイング(噴出)やスピッティング(吐出)が起こりませんか。

AEのシニア・フィールドアプリケーション・エンジニア、「ダグ」ことDoug Pelleymounterは、あらゆる種類のスパッタリングアプリケーションに取り組み続けて32年(犬の年齢にすると実に224歳!)以上という豊富な現場経験の持ち主です。このコーナーでは、アプリケーション上の難しい問題についてダグが皆さんと一緒に考えます。ご意見、ご質問がありましたらどうぞ電子メールでお送りください(宛先: sputtering@aei.com)。

  1. プロセスを設定しようとしていますが、RF電源装置について質問があります。電圧モード、電力モードでそれぞれプロセスを運転する得失を教えてください。電圧固定モードで運転するのと同じ薄膜特性が電力固定モードでも得られますか(匿名希望)。
  2. マグネトロンカソードを1個使って光学アプリケーション用のTiO2(酸化チタン)薄膜を作る方法を探しています。目標は、パルスDC電源を使ってTiO2薄膜を作ることです。基板は最高350℃まで加熱し、プロセスガスには酸素(O2)とアルゴン(Ar)を使おうと考えています。密度が高い良質の薄膜を高い成長率で生産するためのパルスDC電源と最適なプロセスパラメータを奨めていただけないでしょうか。TiO2薄膜で可能な成長速度は最高でどれくらいですか。また、SiO2(二酸化ケイ素)薄膜についてはどうでしょうか(Atul Nagras)。
  3. 当方のデュアルマグネトロンシステムは、チャンバ内にDC電源を置くだけのスペースがありません。何か良い方法はないでしょうか。
  4. RF重畳DC電源の設定は複雑と聞きました。主にどのような落とし穴に気をつけるべきでしょうか。
  1. プロセスを設定しようとしていますが、RF 電源装置について質問があります。電圧モード、電力モードでそれぞれプロセスを運転する得失を教えてください。電圧固定モードで運転するのと同じ薄膜特性が電力固定モードでも得られますか(匿名希望)。
    答: 私ならその場合は電力制御モードを使います。それによって、電源装置側から負荷が「見える」ようになり、プロセスに何らかの異常が起きた場合でも、電圧(V)と電流(I)を調整する余地が双方に生じるからです。電源装置を電圧制御モードで運転している場合は、それに応じて電力(P)と電流(I)が調整されます。負荷を厳密に制御できている場合なら、それで問題は起きません。ただし、負荷が少しでも変わる場合は、電力(P)と電流(I)も変わってしまいますから、プロセスが仕様から簡単に外れてしまいます。ご成功をお祈りします。


  2. マグネトロンカソードを1個使って光学アプリケーション用のTiO2(酸化チタン)薄膜を作る方法を探しています。目標は、パルスDC 電源を使ってTiO2薄膜を作ることです。基板は最高350℃まで加熱し、プロセスガスには酸素(O2)とアルゴン(Ar)を使おうと考えています。密度が高い良質の薄膜を高い成長率で生産するためのパルスDC電源と最適なプロセスパラメータを奨めていただけないでしょうか。TiO2薄膜で可能な成長速度は最高でどれくらいですか。また、SiO2(二酸化ケイ素)薄膜についてはどうでしょうか(Atul Nagras)。
    答: 私ならPinnacle® Plus DC/パルスDC電源を使います。AEは5 kWと10 kWの2機種を用意しています。選択すべき機種はターゲットの大きさによって決まります。適度な冷却オーバーヘッドをとって、私の場合は単位面積(1平方インチ)あたり最大で100 W、通常で70 Wをだいたいの目安にしています(連続運転の場合)

    完全な酸化物状態のTiO2 成長にはかなり時間がかかります。その成長速度は、ターゲットから基板までの距離、圧力、磁力の強さなど、チャンバ内の様々な要素によって左右されます。ですから、うまい手順を知っておく必要があります。成長速度は、ごく大まかにいえば、3~5 Å毎秒といったところです。同じ電源装置をSiO2に使った場合では、5~8 Å毎秒くらいになると思います。

    スパッタリングレートについて詳しくは、『スパッタ・スポットライト』2007年第1四半期号でお答えした「どれくらいのスパッタリングレートが実現可能でしょうか」と2007年第3四半期号でお答えした「 スパッタリングレートを最適化するには、どのような方法を取るといいでしょうか」への回答もご覧ください。さらに詳しい助言が必要でしたら、どうぞお気軽に電子メールでお問い合わせください(宛先:sputtering@aei.com)。


  3. 当方のデュアルマグネトロンシステムは、チャンバ内にDC電源を置くだけのスペースがありません。何か良い方法はないでしょうか。
    答: 選択肢は大きく分けて2つあります。RASを使うか、または、RF重畳DC電源(RF/DC)を使います。この場合、RASを使う方法はお奨めしません。というのは、高圧アノードを追加するためには真空チャンバに穴を開ける必要があって、それが極めて複雑な作業になり、労力もかかるからです。一方、RF/DC電源ならRASほど追加作業が複雑にならず、カソードを1個追加するだけで済みますし、プレーンDC電源ほどスペースも取りません。コスト面で見ると、多少のトレードオフはあります。RF/DC電源は、電源装置が2個(RF装置とDC電源またはパルスDC電源)必要になるため、初期投資がより高くつきます。しかし、カソードを1個しか使いませんから、消耗品のコストは節約できます。


  4. RF重畳DC電源の設定は複雑と聞きました。主にどのような落とし穴に気をつけるべきでしょうか。
    答:  2種類の異なる電源装置を同時に運転するわけですから、RF/DC電源を使う場合は、アーク抑制の適切な設定が成功の鍵を握ります。

    DC電源またはパルスDC電源のほうがRF電源よりも正確にアークを発見して反応します。そこで、DC電源がRF電源をコントロールして、アーク発生時に電源を両方とも遮断しなければなりません。また、アークが消滅したらただちに電力を戻せなければなりません。今日の市場に出回っているDC電源は、この点において様々に異なります。DC/RFコントロール機能をまったく搭載していない機種もあれば、強力にコントロールできる機種もあります。たとえば、当社製Pinnacle® Plus+ DC電源装置なら、搭載しているArc-Sync™技術により、接続されたCesar® RF電源をうまくコントロールしてアークを抑制することができます。

    RF/DC電源の設定に際しては、ケーブル配線やフィルター/コンバイナーの利用など、このほかにもいくつか留意すべき問題点があります。詳しくは当社発行の アプリケーションノート「RF重畳DCプロセスにおけるアーク抑制」をご覧ください。
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