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電子メールニュース『PV サンタイムズ』
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Q2 2008 PV Sun Times



2008年第2四半期の『PV サンタイムズ』(PV Sun Times®)では、ソーラーPV製造に使われているある種のPECVDプロセスで拡大しつつある問題、すなわち、複数のパネルのインラインバッチプロセスで発生するRF電極間のクロストークの解決策を説明します。本誌のコラム「ソーラーの専門家に聞こう」では、低温TCOプロセスに適した選択肢、ソーラーアプリケーションに対する真空製造プロセスの利点、ならびにソーラー業界で最も対策が急がれる製造上の問題に関するその他のアドバイスを検討します。


インラインバッチシステムに適した複数のRF電極の適切な設定によってスループットを増加させる

グリッドパリティ(発電コストがグリッド電力コストと等しい状態)の実現を促すには、PVデバイスから消費者に供給される年間発電量を絶えず増加させることが不可欠です。この理由から、ソーラーPV工場では、パネル効率の向上と工場スループットの増加に向けて絶えず努力しています。スループットの急激な増加傾向を実現したのは、複数のRF電極を備えたインラインバッチシステムで複数のパネルを同時に処理する製法です。


問題点: RFクロストーク

しかし、この傾向が進むにつれて、それに関連した共通の問題、つまり、互いに狭い間隔で配置されたRF電極間の好ましくない相互作用が原因で起こるRFクロストークの問題が拡大しています。このため、同一チャンバ内で以前より多数の電極が用いられる新型プロセスでは、問題が拡大しています。電極の数が増えれば増えるほど、相互の間隔は狭くなりますので、クロストークが発生する可能性はますます高くなります。基板のアーク発生または不良品などRFクロストークに関連する損傷が起こると、プロセスやデバイスの品質を大きく損なうことがあります。RF電極間のクロストークによって生じる問題にはこのほか、付属設備、電源装置その他の設備の損傷や汚染があります。


図1. 複数の基板のPECVDプロセスに適したインラインバッチプロセス

図1. 複数の基板のPECVDプロセスに適したインラインバッチプロセス

図1 は、ソーラーPV製造に使われるPECVDプロセスを図解したものです。この図では、7個のRF電極(カソードおよびアノード)が同一チャンバ内に狭い間隔で配置されています。通電中の電極(カソード)は、それぞれ別々のRF電源装置とインピーダンスマッチングネットワークに接続されています。通常、もう一方の電極(アノード)は接地してあります。これらの電極の間には、複数のガラス基板が挿入されています。チャンバの最上部では、マニホールドからこのプロセスにガスを供給しています。この図は、このプロセスの設定に最適な状態を示したものですが、各電極は、隣接して接地されているアノードとの間にのみ相互作用を及ぼし、プラズマは電極の間に局在化され、ガラス基板は均一にコーティングされます。

しかし、実際には、望ましくない相互作用(クロストーク)がRF電極間に発生して、プラズマが好ましくない部分に侵入することは非常によくあります。システムまたはシールドの設計、もしくは部分的または全体的な圧力の状態によって、プラズマは電極の上下の部分にも侵入することがあります。基板またはプロセス設備に損傷を及ぼすほどアークの発生が重大なレベルに達することもあります。シールドまたはガスマニホールドなどチャンバ内の部品の近くで最も重大な問題が発生して、それにより導電性が生じ、好ましくない電気的接続がRF電極間で拡大するおそれがあります。ただし、各種のチャンバ部品への影響がないとしても、電極間クロストークが発生する可能性があるので、この種のプロセスのスループット上の利点がなくなってしまいます。


解決策:CEXと位相シフト

この種のプロセス設定に固有の問題は重大ですが、しかし、複数のRF電極を使ったインラインバッチシステムにおけるスループット強化の実現は可能です。電極間クロストークと侵入プラズマの問題を緩和する上で重要な鍵となる方法を以下に説明します。

CEX
まず、使用するRF電源装置の同期化は不可欠です。Cesar® RF 電源装置などのAE製品に搭載されたCEX(common exciter oscillator=共通励磁発振装置)機能を使って、RF出力を同期化します。図1では、アノードが接地されているので接地電位になります。カソードは通常、互いに交番するように設定されているので、図1で最も左側の電極は0°、中央の電極は180°、右側の電極は0°になります。それ以外のシステムでは、すべての電極間の位相シフトが0°になる必要があります。図1で理想的な状態はふつう、CEXを使うことによって初めて実現することができ、アノード・カソード間でプラズマを遮断した状態を維持します。CEXを使わない場合は、プラズマ電位がランダムになり、好ましくない相互作用(クロストーク)が電極の間に発生することがあります。

AEのCesar RF電源装置は、CEXを使って電源装置を最大6台まで同期化させることができます。お客様のプロセスで使われているRF電源装置が7台以上ある場合は、すべての電源装置に外付けのCEXを追加すれば、同じ結果を得ることができます。

位相シフト
CEXを使ってRF電源装置を適切に同期化したあとも、クロストークやそれに関連する問題がまだ続いている場合は、お客様のシステム固有の条件に応じて、もうひとつ別の位相シフターを使ってRF出力の位相を「微調整」する必要があるかもしれません。CEXは通常、RF出力の位相を正確に0°または180°に設定します。これにより、プラズマを局在化してRFクロストークに関連する問題を解決することができます。しかし、プロセスにはそれぞれ独特の性質があります。チャンバの構成、付属設備の導電性、電源装置同士を結ぶケーブルの長さの違い、その他の条件によって、位相シフトが180°では適さない場合もあります。プロセスによっては、位相シフトを180°ではなく179°または178°にする必要があるかもしれません。この場合は、CEXと位相シフトを組み合わせることによって、プロセスまたはシステム固有の特性に対応させながら理想的なプラズマ局在化状態を作り出す必要があります。


実現

お客様を悩ますRFクロストーク問題は、CEXを使うだけで解決することもありますが、複数のRF電極を使ったインラインバッチシステムのスループット強化の可能性を完全に実現するためには、CEX+位相シフターという2段階の解決策が必要になる場合もあります。AEのアプリケーションエンジニアは、あらゆるプロセスにおける理想的な位相シフトの決定を含めて、前述のような解決策を実現してきた経験があります。また、お客様独特のシステムでこの種の解決策を設定できるように、ご質問に回答し、実践的な支援を提供しています。詳しくは当方までお問い合わせください




ソーラーの専門家に聞こう!

 

AEのソーラー専門家、Ken NaumanとDoug Pelleymounterが、二人合わせて45年にも及ぶソーラーPV製造プロセスの豊富な経験を基に、ソーラー業界で対策が急がれている製造上の問題についてアドバイスします。どうぞ皆様の声をお聞かせください!

ソーラー関連のご質問、ご意見は電子メールでどうぞ(宛先: PVSunTimes@aei.com)。

 

  1. AEのソーラー製品を使い始めてまだ日が浅いのですが、PV製造に使われるAE製品にはどのようなものがありますか。
  2. 創業したばかりの当社では、一度に大量の設備を注文しなければなりません。AEは、当方が必要とする全設備を短い納期で供給することができますか。
  3. 真空製造プロセスを選択すべき理由は何でしょうか。たとえばプリンティングや蒸着など利用可能な他のPV製造方法に対して、どのような技術的優位性がありますか。
  4. CIGS製造プロセスを担当していますが、最終段階で製造するレイヤーはTCOです。TCOプロセスの温度をコントロールすることで、その下のアクティブレイヤーの劣化を避けたいのですが、何か良いヒントはありませんか。

  1. AEのソーラー製品を使い始めてまだ日が浅いのですが、PV製造に使われるAE製品にはどのようなものがありますか。
    答:どこからお話を始めればいいでしょうか。アモルファスシリコン、微結晶シリコン、CIGS、CdTeを含めて、AEは結晶シリコンウェハを使ったソーラーPVならびに大型薄膜技術向けソリューションを提供しています。この業界で最も包括的な製品群を取り揃えた会社のひとつとして、DC電源から 60 MHzまで各種の電源装置 、温度計測器ガス・蒸気・圧力制御製品など、PV製造のあらゆる段階に適した効果的なソリューションを提供しています。当社の25年に及ぶ技術革新に基づいたソリューションに支えられて高度に発達した設計と技術に裏付けられたこれらの製品は、精度の向上、不良の予防、スループットの増加を実現します。実際、これまで20年以上にわたって、ソーラーPVの開発と製造に携わってきた数々の企業が、当社製品を選んできました。しかし、当社が提供するのは製品や技術だけに留まりません。専門家によるアプリケーションサポート、世界一流の製造施設、グローバルに展開した営業・サポートインフラなども整っています。

    詳しくはAEのソーラー市場ウェブページをご覧ください。

    表1. ソーラーPV製造用AE 製品


    PV サブシステムカテゴリー

    お奨めしている製品
    ソーラーアプリケーションの例AE 製品の特長
    RF電源装置
    Cesar® 電源装置

    Apex® RF電源供給システム

    Navigator®デジタルマッチングネットワーク
    PECVD(a-Si用) 最新型の電源供給技術

    様々な周波数、電源レベル、機能に対応した豊富な品揃え

    最先端のアーク管理技術
    低/中周波電源装置
    PEII低周波電源装置

    PDX®中周波電源装置

    Crystal® 中周波電源装置
    PVD(SiO2用)
    DC電源装置

    Pinnacle® DC電源装置

    Pinnacle® Plus+ DC/パルスDC電源装置

    PulsarDCパルシングアクセサリー
    PVD(メタルバック接点用

    PVD(TCOフロント接点用)
    ガス・蒸気・圧力制御製品
    Aera® FC-7700 シリーズMFC

    Aera® PI-980® プレッシャーインセンシティブ(PI)MFC

    Aera® Transformer デジタルMFC

    Aera® FC-D770工業用MFC

    Aera®AS/GSシリーズ加熱気化システム

    Aera® RSシリーズ液体供給システム
    あらゆる製造段階 プロセス再現性、スループット、リソース利用効率の向上に適した高い精度

    様々な流量範囲と機能を実現
    計測装置
    Sekidenko光ファイバー放射温度計(OFT)
    あらゆる製造段階 プロセスパラメータのユニークな洞察により画期的な最新型プロセスを開発




  2. 創業したばかりの当社では、一度に大量の設備を注文しなければなりません。AEは、当方が必要とする全設備を短い納期で供給することができますか。
    答: 新しい薄膜製造プロセスが出現してから長い歳月を経てきたこの業界は今日、面白い段階に入ったところです。新興ソーラー市場で良い点のひとつとして、隣接する既存の市場分野で開発された成果をすべて利用できることがあげられます。テクノロジーだけでなく、設備の製造・サポート用のインフラでも開発が進んでいます。当社は、セミコンダクタFPD工業用コーティングなどの業界で進めてきた仕事を活かして大きな製造能力を開発することができました。当社は、たとえば30メガワット以上の新しいソーラー設備製造の注文でも効率よくこなすことを目指して、世界一流のプロセス、施設、ベンダーその他必要なリソースを深圳(中国)にすでに確保しています。

    当社では設備だけでなく、お客様の新しい製造作業を成功させるのに必要なサポートも提供しています。AEのアプリケーションエンジニアは、お客様のプロセス開発、設定、最適化、トラブルシューティングをお手伝いできるようにいつでも備えています。当社のエンジニアは、多くの市場、製造方法、プロセス条件で長年培ってきた経験を活かし、価値の高い洞察力と専門知識を提供します。

    世界の主要工業都市に営業・サービスオフィスを置くAEは、ソーラー市場のように全世界的な工業分野に効率的に貢献するグローバルなインフラも整っています。たとえば、ヨーロッパのお客様には、最寄りの便利な地域にある現地オフィスでお手伝いします。同様に、アジアに拠点を置くお客様の得意先には、ユーラシア大陸各地に多数展開した当社のオフィスから協力することができます。

    図2. 新しいソーラー製造作業の大型設備ニーズに応えるために、深圳(中国)にあるAEの世界一流の製造施設では急速な拡張を進めています
    図2. 新しいソーラー製造作業の大型設備ニーズに応えるために、深圳(中国)にあるAEの世界一流の製造施設では急速な拡張を進めています


  3. 真空製造プロセスを選択すべき理由は何でしょうか。たとえばプリンティングや蒸着など利用可能な他のPV製造方法に対して、どのような技術的優位性がありますか。
    答: 今日のPV製造方法には、スパッタリング(PVD)、PECVD、プリンティング、蒸着など様々な方法があります。しかし、PVDやPECVDのような真空製造プロセスには、他の方法ではまったく実現できない絶対的な利点があります。具体的にいうと、PVDやPECVDは、原子レベルの制御を実現することにより、化学量論的組成、結晶性、基板全体の均一性など各種の薄膜特性のより精密な制御を実現します。また、PVDやPECVDを使えば、他の方法と比べて不良の発生を少なく抑えることができます。結局、この高度な制御レベルによって、今日のソーラーパネルメーカーにとって重要な二つの利点、つまりPV効率の向上とスループットの増加が実現することになります。

    図3. スパッタリング(PVD)プロセスの略式図。他のPV製造方法では、原子レベルでの製造作業が可能な真空製造プロセスの精度には敵いません。

    図3. スパッタリング(PVD)プロセスの略式図。他のPV製造方法では、原子レベルでの製造作業が可能な真空製造プロセスの精度には敵いません。

    図3 は、スパッタリングプロセスの原子レベルの挙動を示したものです。このプロセス(図左)の第一段階では、アルゴン原子がイオン化されます。加速された電子は原子に非弾性衝突し、原子から電子が分離してアルゴン(Ar+)イオンを発生します。次に、スパッタリングプロセス(図中央)で、Ar+イオンが陰極(カソード)表面に向かって加速されます。その衝突により、ターゲット材料を剥離させるのに十分なエネルギーが生じます。そして最終段階(図右)では、ターゲット材料が基板表面に達し、そこで薄膜として成長します。スパッタリングについて詳しくは、当社発行の『スパッタ・スポットライト』(Sputter Spotlight®)電子ニュースレターもご覧ください。

    真空製造プロセスを使うもうひとつの利点は、PVDやPECVDの分野では、PV製造に直接応用できる大量の専門知識や技術開発が蓄積されてきたことにあります。AEは、25年以上の豊富な経験に加え、他のサブシステムメーカーに比べて卓越したレベルの薄膜特性コントロールを可能にする高度に発達した包括的な製品群を取り揃えています。たとえば、不良率を低く抑えられる当社製品を使うことによって、ソーラーセル効率が向上するだけでなく、より高出力の運転が可能となり、その結果スループットが増加します。このような高出力の運転によって、大面積基板コーティングもうまくいきます。たとえば、(パッシブソーラー市場向けのlow-Eコーティングを含む)建築用ガラス製造アプリケーションに必要なレベルの電力を長きにわたって実現してきた実績を誇る当社のCrystal® AC電源装置は、PV業界における基板サイズの拡大傾向にも適しています。詳しくは当社発行の報告書『大面積コーティング用品の設計側面』(Design Aspects of Large-Area Coating Supplies)をご覧ください。

    実際のところ、FPDや建築用ガラスなど各種の工業用途大面積コーティングの分野でAEが持つ専門知識は、大面積PV製造にも直接応用することができます。当社は、シリコンウェハの最初のアプリケーションであるセミコンダクタ産業はいうまでもなく、これらの隣接市場でも製品、技術、専門知識を磨いてきました。AEは、極めて高い製造精度が求められ、誤差がほとんど、またはまったく認められないセミコンダクタ製造の世界で経験を一から積み重ねてきたといってもいいでしょう。実際、セミコンダクタ製造はどの産業よりもプロセスウィンドウが狭いのです。つまり、当社の製品と技術は、精度という考え方を中心に設計されており、その利点は、セル効率の向上およびプロセススループットの増加という形で、ソーラー市場でも活用することができます。


  4. CIGS製造プロセスを担当していますが、最終段階で製造するレイヤーはTCOです。TCOプロセスの温度をコントロールすることで、その下のアクティブレイヤーの劣化を避けたいのですが、何か良いヒントはありませんか。
    答: お考えは正しいと思います。サーマルバジェット(熱履歴)は今日、様々な製造アプリケーションで対策が急がれている問題のひとつです。ここで読者の皆様のために、その背景について少し説明しておきましょう。PV製造プロセスの大部分は、他のレイヤーに先立ってTCOレイヤーの成長を最初に行います。しかし、CIGS太陽電池(および一部の薄膜シリコン太陽電池)の場合、TCOの製造段階は最後になります。導電性が温度による影響を比較的受けないためにコールドプロセスで成長させることができる金属レイヤーとは違って、TCOの導電性は熱による影響を強く受けます。十分な導電性を持たせるために、従来型のTCOプロセスは高温下で行われます。そのため、TCO を最後に成長させるCIGSプロセスでは、先行するレイヤーすべてのサーマルバジェットを超過する可能性があるという問題があります。温度が超過すると、TCOの下にあるアクティブレイヤー内部にドーパント拡散を引き起こし、PV性能が大きく低下する原因となります。さらに、温度による影響を受けやすい基板の場合、従来型のTCO成長プロセスの温度条件下では、本当に融けてしまうこともあります。これは、フレキシブルポリマー基板特有の問題です。

    図4. a-SiまたはCdTe製パネルではTCO が最初に成長しますが、CIGSソーラーパネルではTCOレイヤーは最後に成長します。そのため、CIGS製造には熱の問題が伴います。

    図4. a-SiまたはCdTe製パネルではTCO が最初に成長しますが、CIGSソーラーパネルではTCOレイヤーは最後に成長します。そのため、CIGS製造には熱の問題が伴います。

    それでは、対策を急ぐ必要があるように思われるこの状況に対する答えは何でしょうか。TCOの導電性を良好な状態に維持しながら、アクティブレイヤーの拡散または基板の融解を引き起こさない温度範囲を実現する電源方式があります。この種の電源は、たとえばFPDカラーフィルター用の電極やタッチパネルプロセス用の透明導電体のように、温度管理が必要となるそれ以外のプロセスでも数々の成功実績がある標準的な方法です。温度の影響を受けやすいプロセスに効果的なソリューションについて詳しくは当方までお問い合わせください